私は入隊5年が過ぎた頃に、中隊の最先任曹長(自衛隊でいうところの先任)から、中隊の銃器管理責任者を命ぜられました。 自衛隊で言う武器陸曹です。
本来、銃器管理責任者は中隊本部付きになりますが、私は戦闘小隊に残りたかったので、兼務という形で勤務することになりました。
駐屯地での日常勤務のみ銃器管理責任者として勤務し、演習や実任務等では戦闘小隊で勤務することができ、戦闘小隊から離れずに済みました。
この銃器管理責任者は、結構大変で中隊にある全ての銃火器、対戦車ミサイル発射機、その他部品、機関銃の脚等々を把握しなければなりません。
武器庫のどこにいくつあるのか、海外派遣、演習、修理、貸出、警衛等々にいくつ出ているかを全て把握しなければなりません。
さらに自衛隊とは違い、銃器管理責任者は24時間、武器庫の中に寝泊まりして管理しなければなりません。
(武器庫内に宿泊施設が併設されている)
銃器管理責任者は通常二人で勤務し、食事の時や修理工場へ武器を持って行く時くらいしか金庫の様な武器庫から外に出られません。 土日も同じで、外出どころか外にも出られません。
まさに監獄です。
(ただ、日中は一人残っていればいいので、その間に運動や体力練成、駐屯地内の売店に行くことは可能)
しかも、夕方以降消灯前までに駐屯地当直司令や当直幹部等々が不定期抜き打ちの監査があり、全ての武器の員数を点検されます。
なので夜も気を抜けず、ゆっくり出来ません。
でも私は大して気にはなりませんでしたけど。
自衛隊は物品管理は世界一厳しいと思っている自衛官もいるかと思いますが、間違いです。
フランス軍の方が武器管理は厳しいです。
まず自衛隊とは違い、武器搬出時に武器庫には入れません。
武器庫の外の小窓から一丁づつ出し、出し入れの度に各人が武器管理簿にサインをします。
さらに演習後には、まず武器を徹底的に整備手入れをしてからでなければ武器格納は出来ません。
自衛隊の様に手入れは後日でとりあえず格納はあり得ません。しかもレンジャーの武器点検の様に徹底的に調べられて、少しでも汚れていればやり直しです。綿棒でどこを擦っても黒くならなくなるまでです。 それが 毎回です。もう慣れましたけど。
でも、銃器管理責任者に就いて、銃器の責任者として色々と学び経験出来たことは本当に良かったです。
この中隊武器庫も私が除隊する頃に廃止になり、連隊で一括に管理する中央武器庫に変更となりました。