これは私が外人部隊現職当時、アフガニスタン派遣から戻り、4週間の休暇を終えて駐屯地に帰隊し、いつもの日常の部隊生活が始まった頃に書いた日記です。
『1か月の休暇が終わり、今月から仕事が始まった。
任務で使用した銃火器や通信機などの整備、サービスという各中隊が1週間交代で警備や初動部隊、食堂の皿洗い、士官・下士官食堂の雑務などの駐屯地維持のための勤務等で忙しく始まった。
あの激戦の日々だったアフガニスタンが遠い昔の様だ。
戦場から日常へ戻り、この手ごたえのない日々が辛い。
またあの灼熱の大地アフガンに戻りたい。
あそこは24時間、常に戦闘態勢で無駄が一切なかった。
でも今、駐屯地に戻り物足りない日々が続く。
平時の軍務ほどつまらないものはない。
アフガンは私の求めるすべてのものがあった。
あの私がアフガンで駐屯していたCOP Rocco(戦闘前哨基地)は必要最低限のものしかったが、それが私にとって心地良かった。
戦うことに集中でき、一切の無駄がない。
任務に出れば、必ず敵がいて戦闘になる。
たとえ基地に居てもいつ敵の襲撃や砲撃があるかわからない。
いつ死んでもおかしくない。
今、その瞬間を生き抜く日々。
生と死とが紙一重の世界。
死が身近にあるからこそ今、生きていると実感できる場所。
そこに間違いなく自分の居場所があった。
しかし今、この日常の中で抜け殻のような自分がいる。
やはり、私はもう普通に生活はできないのかもしれない。
アフガニスタンに帰りたい。』
これは当時の私の正直な気持ちでした。
本当にアフガニスタンでの日々は、私の人生で一番幸せでした。
今、思い出しても外人部隊にいた頃は、確かに色々大変な事や辛い事もたくさんありましたが、それを帳消しにするくらいの素晴らしい経験や楽しい事がありました。
これもきちんと部隊で着実に階級を上げ、実績を積み重ねて、下積みを乗り越え、一人前として周囲から評価を受けて、部隊に対する愛着や誇りが芽生えたからこそ、本当に自分のやりたいことも出来る様になり、充実した部隊生活が送れることが出来ました。
私にとって、自衛隊や外人部隊時代は、青春時代の様な心躍る充実した日々でした。
30代前半まで、この様な日々が送れたことは本当に恵まれていたと思います。
現在は、がむしゃらに生きてきた日々から一皮むけて、これまでの経験を生かして、多くの自衛官に伝えて行きたいと思っています。
外人部隊時代とは、また違う充実感があり、多方面で忙しい日々を送り、常に自分が成長しいていく感じがとても楽しいです。