この映像では当初、射手はドライファイア(空射ち)では、非常にスムーズなトリガーコントールで、フリンチもなく、銃も安定して見事な撃発動作です。
しかし、動画の1:18での撃発では、空射ちでは出なかったフリンチが発生して、銃がブレています。
空射ちでは何度やっても出来ていたものが、インストラクターが実弾入りの弾倉を入れて、射手にはスライドを引いて装填したと見せかけて(実はわざと装填しないように引いて)射手が実弾が発射されると誤認し、つい無意識に身構えてしまし、フリンチが発生していましました。
そう、これがフリンチなのです。
射撃をある程度経験されている方は「フリンチ」という言葉はご存知だと思います。
「フリンチ」とは、射撃時のリコイル(反動)に対して身構えてしまい、銃が跳ね上がるのを抑えようと下向きの力を無意識に加えてしまい、引金を引いた瞬間に銃が下にブレてしまう現象のことです。
このフリンチは、実銃を撃ったことのない人には出ない傾向があります。
リコイルに慣れてすらいない、実銃の反動の経験がないので、何も考えず引金を引きます。
従って、素直に引金を引き、きちんと狙った場所に当てることが出来ます。
しかし、次第にリコイルに身体が慣れてきたころ、それに対処しようと無意識に身体が下向きの要らない力を加えてしまい、下に外すようになります。
この現象はある程度訓練を受けて、射撃が上達した中級者ほどよく起こる現象です。
「フリンチ」への対抗策は、「フリンチを自覚させること」です。
空射ちでフリンチを意識しながら練習するのも良いですが、最も効果的な方法は、実弾とダミーカート(模擬弾)をランダムに弾倉に詰めて射撃を行うと、ダミーカートの時にフリンチが起こることをはっきり自覚できるようになります。
それが起こらない様にひたすら繰り返して練習するしかないです。
つまり、自分自身でも発射されるのか、されないのか、どっちなのか分からないのが重要な点です。
空射ちでは、どうしても絶対でないと無意識に確信してしまうので、実弾で行う方が効果的です。
映像でも、その後射手が装填されているのか、していないのか分からない様にスライドを引いてフリンチが起こらないように何度も撃発を繰り返して、最後はフリンチなしの射撃で見事にターゲットの中心に当てられています。