私が自衛官に訓練や教育を指導する上で最も重要だと考えていることは、部隊普及を前提にしている点です。
訓練内容は、現在の自衛隊の訓練に足りない部分や補足的な教育、より強化するべき点を中心に教えています。
また、ハイストレス下の実戦において、訓練された人間がどういう行動や反応をするのか、どういう要因によって問題が生ずるのかを理解する必要があります。
その上で全ての手法や技術、戦術が構成されていなければ、現実の戦闘では通用しませんし、任務を完遂することは困難です。
実際の戦闘ではどういう問題が発生するのか。
なぜ、その技術が必要なのか。
その手法、技術のメリットとデメリットは理解しているのか。
その構え方、立ち位置、銃の操作、足運びは、意識して根拠に基づいて行っているのか。
管理的銃口管理ではなく、戦術的銃口管理は理解しているのか。
実弾で戦闘行動を実施するということは、どういう問題が発生するのか。
そして、その教育で重要な点は、部隊勤務という限られた時間、環境内において部隊普及が必要であり、そこでのポイントはシンプルであり、そして体系化されていることです。
特殊で高度な技術が実戦的で使えるとは限らない。
実際に部隊普及して、誰しもが習得して使えなければ本当に実戦的とは言えない。
特殊な技術は、特殊な部隊か、特殊な場面しか使えないことの方が多い。
シンプルだからこそ、習得可能で、どんな状況でも汎用的で応用可能であり、かつ使用する頻度がかなり高いものが求められて来ます。
従って、自衛官専用の訓練になればなるほど、技術はよりシンプルで、基礎的な訓練が中心となって行きます。
それが本当に実戦的な訓練であり、本当に実戦で使える教育です。
それが様々な幅広い知識や技術、教育を受けかつ、実戦を経験して得た私の考えた結論です。
もちろん特殊な訓練や部外の幅広い知識や技術を学ぶことは、決して無駄ではなく、見識を広め、教育の幅を広げるためには必要な要素であると考えています。
あとはそれをいかに部隊普及用にシンプルかつ、使用頻度の高いものを厳選して、その部隊に適合する様に効率的に体系化させるかが重要だと思います。
これまでに様々な部隊の多くの自衛官の皆さんに対して訓練を実施しましたが、今後も継続的にこうした訓練を続けて行きたいと思います。