若い自衛官や外人部隊の日本人で、現在も過去の隊員も同じですが、日常の厳しい訓練や規律、軍隊生活でのシゴキ、外出が出来ない、自由がない、言葉の壁、人間関係等で気が滅入って辞めたくなる人がいます。
そんな人に限ってレンジャー課程を希望したり、実戦任務に行きたい、戦地に行きたいと言います。
はっきり言いますが、日常の軍の生活程度のストレスで気が滅入る様な人が戦地での任務に耐えられるはずがありません。
たとえ無事に帰って来ても、燃え尽き症候群で辞めて行きます。
若い日本人隊員の多くは、きつい訓練や試練は嫌だけど、戦地は面白そうだから行きたいと言っています。
しかし正直、それは違うと思います。
落下傘連隊はキツいので連隊を変えたいとか、外人部隊を辞めたいとか言っているのに、戦地に行きたい?
正直、考え方が甘いと思います。
戦地に行きたいなら、進んで苦しいことやキツいこと、厳しい訓練に望む気概がなければ行く資格はありませんし、耐えられません。
兵士にとって最も必要な適性は、「理不尽への耐性」です。
どんなにくだらない事でも、どんなにアホらしい事でも、どんなに理不尽な事でも耐えられ、嫌なことはあまり深く考えず、ポジティブ思考で常に考えられる人こそが本当に兵士に向いています。
実戦を経験したから分かることですが、そう言った日頃のシゴキや理不尽な事、厳しい訓練を乗り越えてきたからこそ実戦において、一切娯楽も休日も自由もない最前線の隔離された生活や戦地での極度の緊張状態、戦闘ストレスにも耐えられます。
2REP(第2外人落下傘連隊)が、なぜ他の連隊より精強と言われるのか?
アフガニスタンなど戦死を伴う激戦が予想される戦地に派遣されることを拒否したり、過酷な環境で倒れたり、PTSDを発症する人などが皆無なのか?
それは他の連隊以上に日頃の厳しい服務規則や無理難題のシゴキのストレス、不条理の嵐、そしてフランス陸軍で最もタフな訓練を耐え抜いているからです。
それに耐えられない者は脱走して行くか、連隊を変えるか、そもそも落下傘連隊に志願しないなどでふるい落されて行きます。
戦死傷者が多数出る本当の戦場の中で、私はようやく第2外人落下傘連隊の本当の強さを実感出来ました。
あの過酷なアフガニスタンでの戦闘の日々で、みんながどんなに生き生きしていたか、今でも覚えています。
日々の厳しい訓練の成果を思う存分発揮できる喜び、満足感、やりがいを皆、実感していました。
これは、戦闘がない、激戦がない戦場に派遣されただけでは、分からないことだと思います。
日常のストレス、それすら耐えられないなら、到底無理な事を知るべきです。
ましてや激戦を伴う様な戦地に行った時にPTSDになる可能性もあります。
それまでの下積みは決して無駄ではなく、実戦だけでなく、コマンドー課程など困難な訓練にも耐えられる様になります。
自衛官なら分かると思いますが、レンジャー課程は無理難題や過剰なストレスを与え、不眠不休の疲労困憊の中でも任務完遂できる挺身精神を付与することが目的です。
疲労困憊のストレスでイライラしたり、心折れたり、仲間のミスや足手まといのカバーでよりキツくなったりして、人間の本音が出て仲間に当たったり、自分本位になったり、苦しい時こそ人間が試されます。そして、それでも前へ行ける強靭な精神力が試されて来ます。
そういったストレスの耐性は肉体的なものだけでなく、日頃の軍隊的な厳しい、一見不条理に見える命令や服務規則が精神的ストレス強化の訓練にもなっています。
今後、軍隊生活を重ねてキャリアを積んで行けば自然と分かって来ると思います。
特に教育を指導する立場になればより分かって来ると思います。
その事をもっと今の若い日本人隊員や自衛官に知って頂きたいです。