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防災担当スタッフです。

2015年6月30日東海道新幹線火災事件後、昨今また列車内放火事件が相次いで発生しており、今後同様の事案が発生した際に襲撃者へ対抗する知識・手段を紹介したいと思います。

走行中の列車内に置いて、火災を迅速に消火する為には消火器を使用することです。

京王線での放火は、車輌連結器部へ避難者が集中した所(ボトルネック)に可燃物を散布し、放火しました。襲撃者に対し背を向けるのは、格好の的になるだけです。

【事態への対応】

火災事件の共通概要

1、可燃液体・可燃ガスを散布。

2、液体・ガスに点火。

3、近傍の可燃物に延焼。

更に、放火の前後で殺傷事件を行っている。

対応案

①各鉄道会社では管区駅(幹事駅)や有人駅での警備員の巡回だけでなく、列車への乗車警備も行っている。

②2、3、に対しては車両備え付けの消火器による消火対応(乗務員室及び客室に1つ以上の消火器を備え付ける事が義務化されています)はできる。

※完全な消火については、襲撃者を制圧・拘束した後実施が望ましい。

③1、の段階で消火器に使用される消火薬剤(ABC粉末・中性強化液)を使用して着火・燃焼拡大・爆燃を事態前に抑制できるか?

※尚、今回は強化液消火薬剤(導体)が列車電気設備に浸透し発生するショート等の影響は考慮せず。

対応案③に関して、消防庁消防大学校 消防研究センター 研究官の方から回答を頂きました。

・可燃液体に強化液消火薬剤を混入した場合、着火に影響はあるか。

(答)強化液消火薬剤はガソリン等の可燃性液体とほとんど混ざりません(水と油の関係)ので、消火薬剤を散布していても容易に着火します。

・可燃ガスが充満した空間に粉末消火薬剤を放射した場合、着火に影響(引火するか)はでるか。

(答)粉末消火薬剤を放射した直後で空間中に十分な濃度の消火薬剤があれば着火を抑えられるかもしれません。しかし、粉末消火薬剤は空間中に浮遊し続けることが出来ませんので時間とともに落下して、空間中の濃度が低下します。

したがって、粉末消火薬剤を放射して時間が経過すると可燃性ガスは着火します。

※可燃物が滞留・充満していた場合、静電気でも着火し燃焼します。また、粉末消火器を使用した場合「衝突帯電」により静電気が発生します。ですので、この時使用する消火器は地面等にアーシングした物を使用しなければなりません。

・可燃液体が浸透した粉末消火薬剤は、着火するか。

(答)粉末消火薬剤そのものは着火しませんが、粉末消火薬剤に浸透した液体が揮発して発生した可燃性ガスには着火します。

対応策

・公共交通機関や雑踏で危険要因があれば、観察→気付き→予測→準備→回避のサイクルを意識する。

・襲撃により被害者が増えるならば、戦闘準備をする。

・放火を企図した段階(可燃物を散布)で、襲撃者に消火器を放射(正常な消火器で有れば7m先に放射できます)、着火装置とも無効化。及び即座に制圧開始。

※可燃ガスが充満している場所で火災抑制の粉末消火薬剤散布をする場合、金属チェーン等でアーシングした消火器を使う。チェーンで繋ぐ事で日常の盗難防止効果を付加。

・刑事訴訟法第213条により私人逮捕(現行犯逮捕、準現行犯逮捕)ができます。

・乗務員の対応は、殺傷事件を認知し駅間で緊急停止したとしても、周囲の列車への停止手配(運転指令による運転規制)の確認が済んでいなければ、旅客が線路内に飛び出し他列車に轢かれる可能性がある為、ドアの開扉や非常用ドアコックの操作はできません。迅速かつ安全に旅客を避難させる為に次駅まで走行が最善です。

弊団体のコラムは、各スタッフの経験則によるエッセンシャルが詰め込まれています。お手数はお掛けしますが、過去記事にも目を通して頂けると幸いです。

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