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現在のフランス陸軍の一般的な歩兵連隊の小銃分隊10人編成の装備一覧です。
完全機械化され、装甲人員輸送車に乗り、ドライバー(操縦手)とガンナー(車長・車載機関銃手)、分隊長含む下車人員8名の編成です。
10人全員がそれぞれの役割の銃に加えて、さらに拳銃を(グロック17)を装備しています。

分隊長(軍曹):HK416(5.56mmライフル)、グロック17(拳銃)
分隊狙撃手(伍長):SCAR-H(7.62mmライフル)、グロック17

Aチーム
組長(伍長):HK416+40mmグレネード(小銃に付けた、てき弾発射機)、グロック17
小銃手:HK416、グロック17、AT4(対戦車ロケット:使い捨て用)
小銃手:HK416、グロック17、AT4

Bチーム
組長(伍長):HK416+40mmグレネード、グロック17
機関銃手:ミニミ軽機関銃、グロック17
小銃手:HK416、グロック17、LGI(携帯式てき弾発射機)

車長・車載機関銃手(上級伍長):HK416、グロック17
操縦手(伍長):HK416、グロック17

その他、ヘルメットやプレートキャリアー(個人用防弾装備)、コンバットシャツ(暑さ防止用の簡易迷彩服上衣)、コンバットブーツ、シューティンググラス(眼の保護用サングラス型ゴーグル)、熱探知暗視装置など個人用装備はもはや一般的な米軍兵士を超える質の最新装備になっています。
少し前の特殊部隊に匹敵するものに更新されている現状です。
さらに2024年にはフランス軍の迷彩服のカモフラージュパターンも新しく変更される予定で、益々今後のフランス軍は装備面でかなり先進国となって行きます。

フランス陸軍の個人装備は、15年前までは自衛隊とそれほど変わらない状態でしたので、この差は開く一方です。
2009年くらいからのアフガニスタン派遣において新型の迷彩服やコンバットシャツ、個人用装備一式が全て最新のものに更新されて配備されることになりました。
私も2010年アフガニスタン派遣で、今現在配備されている最新装備の原型となるものを使用していました。
米軍と比べるのと違って、フランスも日本も軍事費、兵力規模共にほぼ同程度ですので、予算のせいには絶対に出来ません。
ただ、この大幅な更新はやはりそれだけアフガニスタンで戦死傷者が発生したということで、米軍もそうですが大きな被害が出てからでないと政府は動かないのが現実だと思います。

その一方で、この30年間、ほとんど変更がない陸上自衛隊です。
この30年で変更点は、89式の左側セレクターの追加と3点式負いひも、個人用救急品袋くらいです。
鉄帽2型と防弾チョッキ3型も新しく出てきましたが、ごく一部の部隊しか配備されていない現状です。
それに鉄帽2型と防弾チョッキ3型も、世界各国の現状装備と比べると何世代も古い旧型です。
正直、陸上自衛隊の普通科部隊の個人装備も車両も、私が自衛隊を退職した17年前とほぼ同じで全く変わっていません。
ようやく新型小銃である20式小銃の配備が始まりましたが、年3000丁の納入ペースでは、全部隊に行き渡るのに30年はかかってしまう計算です。

蒸し暑い夏がある日本においてもまだコンバットシャツ(暑さ防止用の簡易迷彩服上衣)は、今現在も自衛隊に全く配備されていません。
(AASAMオーストラリア国際射撃競技会の選手要員にはコンバットシャツが配備されていますが、このケースは例外中の例外なので、部隊配備には全く関係ないのが現状)

現在の陸上自衛隊は総合的にみれば世界屈指ですが、個人装備だけで言えばアジア地域で比べても、韓国軍の方が装備は優れていますし、さらにフィリピン軍やインドネシア軍など東南アジア諸国の方が装備の質も良く充実している状態で、30年前の旧式装備を使い続けている先進国とはとても言えない状態というのが現実です。
この状況は現場の自衛官ではどうしようもない問題ですので、今回の防衛費倍増の発表を機に装備の抜本的見直し、最新型への更新に繋げて頂きたいと願います。

こうしたことを常備自衛官はなかなか表立って言えない立場であるからこそ、もっと国民の方々に広めて問題提起をして、改善の方向に持って行くことが必要だと思います。

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