私が教育訓練で重要だと考えていることは、「なぜそれを行うのか」、「なぜ、その技術を使うのか」など、ごく当たり前で誰もが知っている様なことをきちんと深掘りして、その詳細について説明できることだと思います。
私はこれまで世界の多くの特殊部隊や精鋭部隊を見てきましたが、彼らに共通しているのは、基礎の塊だということです。
基本基礎の徹底、自衛隊でもよく言われることですが、特殊部隊でも特殊な技術は特殊な場面しか必要としませんが、どんな状況や過酷な環境下でも、当たり前のことを当たり前に行えるかが「質」という面で大きく差が出て来ます。
例えば、「銃はどう構えるのか」、「どう歩くのか」、「安全装置は、いつどの様な時に外すのか」、「どの様に立っているのか」、「どの様にして骨格や筋肉を使うのか」、「ドアの入り方は」、「なぜその足の方が前なのか」、「なぜ、その位置に立つのか」、「ダイナミック・エントリーとリミテッド・ペネトレーション等の違いや使い分けはどうするのか」、更には、そもそも「CQBとMOUT(市街地戦闘)とは、どう違うのか」など、詳細に説明することができ、「なぜそうするのか」をきちんと深掘りして理解できているのかということが、実戦においても生死の分かれ目になって来ます。
どんな技術や戦術にも、絶対の正解はありません。
重要なことは、その技術や戦術のメリットとデメリットをきちんと理解しているのか、そしてそれらを踏まえて総合的に判断して実行出来ているのかが問われています。
また、特に部隊普及や教育訓練では、限られた時間の中での教育や訓練を行うという制限、その人の才能やセンスなど個人差による習得率や理解度の違いなど、可能な限り改善することが出来るようになります。
その様なことも踏まえて、今後もより多くの自衛官に伝えて行きたいと思っています。