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私は「81mm迫撃砲課程」を修了した後、第3外人歩兵連隊が運営する「ジャングル戦コマンドー訓練センター(CEFE)」において、「ジャングル戦コマンドー課程」を受けることになりました。

この訓練センターは、ギアナ内陸部のレジーナという場所にあり、そこはまさにアマゾンのジャングルの奥地で、フランス正規軍ではなく、外人部隊が独自で運営する、ジャングル戦のスペシャリストを養成する場所です。

アフリカのジブチで受けた「洋上潜入・砂漠戦コマンドー課程」と同様に、自衛隊や米軍のレンジャー課程に相当する教育でもあります。

しかもこのギアナのコマンドー課程は、フランス軍の数あるコマンドー課程の中でも、最も厳しい訓練と恐れられているもので、フランス軍のみならず、世界各国の軍からジャングル戦を学びに来ています。

教育期間中は初日から最終日までジャングルの中で行い、建物で寝泊まりなど出来ず、全て野宿となり、持って行ける荷物は、自分の持っている銃やチェストリグなど装具以外には背のう一つのみで、その背のうの中身だけで訓練最終日まで生活しなければなりません。

初日、訓練センターの本部がある施設に到着した瞬間から始まり、教官たちの罵声を浴びながら急いで車両から降りて荷物や大量の戦闘糧食(コンバット・レーション)の箱を走って運びました。

そして、休む暇もなくすぐに体力調整(体力的に激しいしごきなど)で2時間ほど散々しごかれ、終了後すぐに素養試験の体力テストを受けて、合格したらすぐさまボートに乗せられて、ジャングルの奥地に運ばれて行きます。

とにかく、常にストレスを掛けられ、何かにつけて指摘され、訓練初日だけで、1000回以上の腕立て伏せなどの反省を課せられます。(本当に数をカウントして、その回数をやりきるまで終わりません)

食事も全日程を通して戦闘糧食のみで、一食が缶詰め一個のみで、飲料水は全て現地調達しなければならず、川の水を汲んで浄水剤を入れて飲みます。

しかもその川は、日本の川の様な清流とは程遠い、ほとんど流れはなく濁った緑色で、同じ場所でみんな体を洗って、洗濯しているところの水を汲んで、みんな飲みます。

寝る時も全日程を通してジャングルで野営します。

つまり、そこでの生活そのものがサバイバルでした。

講義や訓練教習は、ジャングルの中の様々な場所で実施され、その移動には装具や背のう以外に20リットル入るジェリカン(水缶)と全日程分の戦闘糧食の入ったケースを担いで運搬しなければならず、かなりの強行軍となります。

訓練内容は、ジャングル内に作られた障害物コースや体力調整(体力的に激しいしごきなど)、泥沼のマングローブ(底なしの泥沼)の中を完全武装と背のうで長距離を担架搬送したり、ジャングルをコンパスと歩測のみで行軍したり、生存自活訓練、拷問耐久訓練、川をボートで移動しながらの実弾射撃、密林索敵反応射撃(実弾)などジャングルの中で生き残るためのあらゆることを学びました。

生存自活訓練では、事前に徹底的にサバイバルに必要な知識や技術を学んでから、実際に数日間ジャングルの中で生き延びるというものでした。

まず、障害コースや体力調整で肉体的に追い込んでから、さらに拷問訓練を受け、ヘロヘロになった後に、全裸にさせられてすべての荷物を没収され、靴下の中まで調べられ(靴ひもやベルトなども道具になるものは没収)、土のうを頭に被せられて、ボートに乗せられ、ジャングルのどことも知れぬ場所に置いて行かれ、そこで3日間ほど生存自活しなければならないというものでした。

持って行けるのは、着ている迷彩服(ベルトは無し)と靴ひも無しの半長靴、そしてナタ(マシェット)とコンパスのみでした。

しかも、ただ単に寝て過ごせれば楽ですが、そうではなく、様々な課題をやらなければなりませんでした。

まず、屋根付きの寝床や屋根のある焚火の設備を用意します。

さらに、魚を取る仕掛け網、動物を捕らえる罠(ランボ―に出てくる様なトラップ)、葉で織り込んで作る背負子(しょいこ:リュックサックの様なもの)など、それぞれ指定された数を作ります。

その上、最終日に脱出するための筏(いかだ)なども作らなければならず、その合間に食糧の調達などするので本当に大変でした。

(それら作ったものは、全て成績として評価されている)

コマンドー訓練が始まってから、ただえさえ戦闘糧食のみで食事量は少なかったのに、さらにサバイバル訓練に入ってから、ほぼ絶食状態と疲労困憊で、動きは動物のナマケモノのようなゆっくり動きとなり、頭の中は常に食べ物のことを考えて作業していました。

その後に筏を川に浮かべて脱出しますが、その筏は乗るのではなく、それにつかまってバタ足で泳いで行きます。

流れがほとんど無い川は、消耗した体に堪えました。

それを数キロ移動してから指定された場所で上陸し、ジャングルの中をコンパス行進してさらに数キロ行軍し、背のうなど置いてある場所までたどり着いて、ようやく戦闘糧食が食べられました。

(でも今日一日分だけですので、そんなにたくさん食べられませんが)

そして最後は、最終想定を乗り越え、完全武装で担架搬送しながら走ってジャングルを走破し、ボロボロになりながら、ようやく訓練センター本部がある施設まで戻って、中央広場にて全員で雄叫びを上げました。

しかし、それで終わりではなく、すぐに様々な実技テストを受けつつ、反省の腕立て伏せをやらされて、とことんまでいじめられます。

お陰で教育終了後は、みんなげっそり痩せていました。

中には筋骨隆々だったのに、15kg近く体重が減って、ガリガリになっていたのもいました。

確かに、ジブチで受けた砂漠戦コマンドー課程よりきつかったです。

でも無事に修了し、コマンドー記章を得ることが出来ました。

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