
7月6日、我々はCOP(前哨砦)から南西に5kmほど行った地域でパトロールを行うことになりました。
猛暑の中、敵の痕跡などを探しながらかなりの高低差を登り下りしながら進んでいました。
そんな時、瓦礫の中に大きな袋が隠されているのを発見しました。
その中になんと大量のパキスタン・ルピー(パキスタン紙幣)が入っていました。
おそらく、タリバンの隠し資金を発見した様でした。
お金は証拠して我々がいったん持ち帰り、今夜にまたここに戻ってきて、待ち伏せを仕掛けることになりました。
昼頃にCOPに戻り、今夜の準備と休息を取りまりました。
今夜は21時に出発予定で、今回は待ち伏せのため、車両を使用せずに徒歩で潜入することになりました。
すると20時15分頃、天幕で準備していたら突然、外で爆発音と銃撃音が聞こえて来ました。
外に出ると、辺り一面で照明弾が打ち上がり、曳光弾が飛び交う銃撃の嵐でした。
これまで何度もありましたが、今回の襲撃は今までで最大規模の攻撃でした。
私は慌てて銃と防弾ベストを掴んで外に出ました。
敵は、勢力が15人ほどで、それらが複数の部隊に分かれて同時に北と東から銃撃、RPG7、107mmロケット弾などでCOPを攻撃して来ました。
COPに至近弾が何度も着弾して、周囲は凄い混乱状態とりました。
私はすぐ近くの監視ポストに上がって、照明弾の上る中、銃撃を加えて応戦しました。
そこら中で、銃声と怒号が入り乱れていました。
もし、燃料輸送車に当たったら、大量のガソリンなどが大爆発して、我々も巻き込まれる可能性もあり、危険な状態でした。
おそらく、この攻撃はあの大量のお金を我々に取られた仕返しでやって来た可能性がありました。
あれだけの大金を我々に盗られて、相当激怒したのでしょう。
あの攻撃の激しさからそれが分かりました。
味方の迫撃砲の支援射撃や我々の奮戦によって、敵もかなりの損害を出して撤退して行きました。
今回は、COPという強固な防御陣地での戦いだったので、味方の死傷者はいませんでした。
ただ、もし我々の出発がもう少し早く、COPを出て歩いている無防備な状態で攻撃を受けていたら、多数の死傷者が出ていたかもしれませんでした。
今回もまた、一歩違えば、全く違う結果になっていました。
生き残れるかどうかは、本当に運によるところが大きいと感じました。