
現職の自衛官も含めて多くの方が勘違いされていますが、日本の有事において常備自衛官も即応予備自衛官、予備自衛官の実質的な立場は全く変わりません。
それはどういう事かというと、日本は専守防衛であり、それはつまり本土決戦ということです。
防衛出動が発令され、戦場となるのは日本本土そのものです。
そこに前線も後方も関係なく、日本全国が攻撃の対象となり、日本有事に常備自衛官も予備自衛官も関係ありません。
想像すれば簡単なことですが、分かりやすい実例は昨年に起きたウクライナ戦争だどが例をして挙げられます。
ウクライナの予備役の方々は、本当に後方の安全な基地や駐屯地での警備だけなのでしょうか?
そうではないことは、これまでの歴史が証明しています。
そして今回のウクライナ戦争においても、予備役の重要性が再認識されました。
ベトナム戦争やイラク・アフガン戦争における欧米の軍隊の場合、遠い外国の戦場と本国とは別ですが、ウクライナ戦争の様な侵略に対する防衛や日本の有事においては全く状況が違います。
他国から侵略を受けた際に防衛出動が発令され、常備自衛官が出動するということは、同時に即応予備自衛官や予備自衛官も必ず招集されることになります。
そんな日本の存亡が掛かった有事において、常備自衛官だけ出動することはまずありえないということです。
つまり、常備自衛官と即応・予備自衛官は一心同体であり、日本存亡を掛けた有事の際は必ず共に肩を並べて任務に従事するということです。
もし常備自衛官だけ出動する場合は、日本全体にとってそれほど深刻な事態ではない小競り合い程度の場合のみです。
その場合に派遣されるのは自衛隊においても、ごく一部の限られた部隊だけだと思います。
5年から10年以内には、中国の台湾侵攻が起こる可能性が非常に高いと予想されています。
現在、中国は大規模部隊を着上陸する能力は「まだ」ありませんが、2025年までには台湾侵攻に必要な能力は整うとの予想です。
中台戦争は、同時に日本への攻撃も含まれています。
アメリカのシンクタンクであるCSIS(戦略国際問題研究所)が中国の台湾侵攻のシミュレーションのレポートを発表しましたが、これによると米軍と自衛隊は相当の損害が出ると予想されています。
米軍の損害は、空母2隻、艦船20隻、航空機484機、死傷者と行方不明者を合わせて約1万人を失い、自衛隊は、航空機160機、艦船26隻を失うと予想されています。
これは、米海軍最大戦力である第7艦隊と海上及び航空自衛隊の全滅と同等の損害となります。
日本にある在日米軍基地や自衛隊の基地などの多くは攻撃対象となり、ミサイル攻撃などで相当の損害が出ると予想されています。
また台湾有事には、日本のエネルギーや食料など生命線である海上交通路(シーレーン)が戦闘区域に入ることとなり、それは日本の経済活動の停止を意味します。
そうなれば、日本全体のライフラインが機能不全に陥ったり、経済的混乱によって大量の失業者や餓死者、暴徒化した犯罪の発生の可能性があります。
ただ、こうしたことが杞憂に終われば、それに越したことはありません。
ちなみに即応・予備自衛官が防衛出動で招集される場合は、赤い色の招集命令書が届きます。
現代でも「赤紙」は存在しています。
(訓練招集や災害派遣、治安出動など、それぞれ用紙の色が異なります)
常備自衛官も即応予備自衛官、予備自衛官もそのことを肝に銘じて、強い決意と覚悟をもって日頃の訓練に励んで頂きたいと願っています。
もし有事が起きた際には、私はどんなことがあっても、日本の国防のために命を懸けて全力で取り組むつもりです。