防災担当スタッフです。震度5強を越える地震が多発し、防災用品の備えが再燃しているようです。私としては「最近災害が多いから」ではなく、日頃から非常事態に備えて頂きたいと思っております。
そこで今回は非常持ち出し品(Go bag)の作り方を解説していきます。
・リュックの選定
避難時両手は空けておいた方が有利なので、リュックサックをお勧めします。
成人男性であれば15kg(粉末10型消火器約3本分)・女性であれば10kg(粉末10型消火器約2本分)が持ち運ぶ適当な重さとされています。それぞれの重量でパッキングするのであれば、自分の背丈に合った物で腰ベルトと胸ベルトが付いている山岳用リュック(ザック)を推奨します。
※私は趣味の登山用パッキングを非常持ち出し品と兼務させています。
・入れ組品について
基本的に「333の法則」で最低限の準備をします。そこにEDC(EveryーDay Carry tool)を追加し72時間以上生存できる構成です。
※EDCについては
日常の携行品(糧食)
日常の携行品(衛生用品)
をご参照下さい。
【333の法則による準備】
・3分…呼吸、正常な空気を確保出来なければ、3分で死亡する。
→感染予防用の不織布マスクだけでなく、粉塵(建物倒壊による塵埃、噴火の火山灰)を想定し密着型の防塵マスク・交換用フィルターの準備。ネックウォーマーを兼ねたマスクも少しですが防塵効果はあります。
また、空気が汚染された場所には、透明なゴミ袋に清潔な空気を入れ頭にすっぽり被る事で防毒効果を付加することができます。
準備物→不織布マスク、防塵(防護)マスク、透明なゴミ袋
・3時間…体温を保温維持出来なければ、3時間で死亡する。
→行動をしなくても十分温かさを感じれる重ね着(レイヤリング)を準備します。寝袋を使用せず寝る事が前提です。
基本的な構成はインナー(下着)・ミッドレイヤー(シャツ、トレーナー)・アウターレイヤー(ジャンパー、レインパーカー)となります。
インナーや肌に触れる物(帽子、ネックウォーマー、靴下等)はメリノウールを強く推奨します。
冬用のアウターレイヤーは防水性の物が多いですが、極力濡らさず、最後に雨具で全身を覆う形が理想です。
ポンチョ型の雨具は風で煽られるので裾を縛着し使用するか、レインスーツ型の着用お勧めします。
戦闘服の中に雨合羽を着込む技が有りますが、汗が発散されず蒸れて不快になるのであまり推奨しません。尚、アルミシートも同様に発散しません。
この話をするとき思い出すのが、演習の仮眠時WACの先輩がNBC防護衣を着て寝ていた事です。夏場は地獄ですが、防破片チョッキと同じく着ていて温かったです。
準備物→(防水処置した)着替え、帽子、ネックウォーマー、防寒具、雨具、アルミシート
・3日…人は水分を補給出来なければ、3日で死亡する。
→救出の限界72時間はここから来ています。逆に言えば水の確保まで3日猶予があります。成人男性が1日に必要な水は2リットル(行動・作業する場合4リットルとなります)です。最低限準備するならば2リットル分小分けして携行します。携行型の浄水器も良いと思います。
また、泥水は泥を沈殿させるか、ネックウォーマーや不織布マスクの様な目の細かい繊維で濾す事ができます。
※不織布は水を通す為にアルコールを塗布してから濾過
即席型浄水装置を利用して水を確保した場合、10分間煮沸消毒(沸騰してから10分)をしてから使用して下さい。不潔な水を無理矢理飲むより清潔な水を確保することが大切です。
準備物→水、保水する容器、浄水器(浄水タブレット)
・3秒(捕捉)…殺傷・危害を意図として襲撃される。3秒で行動不能になる。
→被災者全てが善人とはかぎりません。強盗、強奪をする悪人はいます。被害を受けない為にも、日頃からマインドセットを養い体力を維持しましょう。
準備→マインドセットを養う、体力を付ける
最低限の非常持ち出し品は以上となります。その他必要だと思う物(予備の眼鏡等)は個別に入れ組むようにして下さい。
・スタッフのGo bagの中身
水筒×2、ヘッドランプ×2、防塵(防毒)マスク、ゴーグル(消防用)、ペグ×4、パラシュートコード15m、カラビナ×2、スリングロープ×4本、ナイフ・シャープナー、アイマスク、エマージェンシーシート、寝袋、雨具(上下)、ウェットティッシュ、食器一式(粉末スープ、粉末スープ茶)、ガスバーナー、防寒具(下衣)
※防寒具(上衣)の中に帽子、ネックウォーマー、フラッシュライト、筆記具を携行しています。
防災備蓄品は長期に渡り被災生活が続く場合必要ですので、別で安全に保管できる所に準備しましょう。
お子様がいる家庭では、環境が突然変わっても睡眠休息が摂れるようアウトドアキャンプや車中泊等で、防災体験しておく事もお勧めします。また、体験を経て家族内で必要になる物品も分かります。
根底となるものは「自分の命は自分で守る」「絶対に生き抜く心構え」を意識することです。そして各人各家庭の防災へ備えを確立して下さい。