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5月6日、我々はスピンクンダイという村に行くことになりました。

その場所は、我々が派遣される少し前に、タリバンの待ち伏せにあってフランス正規軍の1個小隊が全滅(10名死亡、21名重傷)する事案があったところです。

今回、その村に対して、民心獲得工作のために民事部隊が村で支援や情報収集活動を行い、我々がそれを防護、警戒する役目でした。

しかし、ここは小隊が全滅するほどの危険な地域で、我々もかなり緊張して警戒していました。

日中は特に何事もなく過ぎ、民事部隊も任務を終了して、引き上げた夕方ごろ、突然正面に見える山の稜線で爆発が起きました。

私はすぐに伏せて、周囲の警戒をしました。

すると我々の後方800mほどに、また爆発が起きました。

どうやら敵の砲撃によるもので、これは中国製107mmロケット弾で、射程も威力も迫撃砲よりすっと大きく、これはかなりの脅威でした。

正面に見える山の稜線の裏側から撃って来ている様でした。

3発目、4発目と、どんどん我々の方に着弾が近づいて来ました。

敵の観測員がどこかで我々を見ていて、確実に我々の位置に修正して射撃をして来ました。

そして、とうとう我々のかなり近くまで着弾が迫り、これはかなりまずいと思いました。

旧ソ連製82mm迫撃砲より、ずっと砲弾や威力が大きい、107mmロケット弾は、着弾の殺傷範囲も大きく、このままでは誰かが死傷するかもしれないと頭をよぎりました。

我々もすぐに味方の120mm迫撃砲部隊に連絡して、射撃要請を行い、撃ち返して応戦しました。

そうして、しばらくすると敵も撤退したのか、射撃も収まり、なんとか全員無事でした。

すぐに全周囲警戒をして、ここで夜も監視を行い、警戒態勢を維持しました。

そして、一晩中監視を行い、早朝に撤収を開始しました。

全員が装甲車に乗車して、離脱することになりました。

今回、我々がいた地域はかなりの急こう配の崖の様な場所が続き、車両の移動が非常に危険なところでした。

しかも、非常に重量も重く、舗装もされていない、岩や砂などの悪条件下での運転は、かなり厳しい状況でした。

そして、かなり急な悪路の坂を慎重に降りて行った時、私の後方の装甲車がバランスを崩し、なんと頭から横転して崖を3~4回転して転落していましました。

車載機関銃である12.7mmの銃口が地面に突き刺さり、根元から土台部分がもぎ取れて、車両本体がそのまま転落していました。

ガンナー(車載機関銃手)は、なんとか転落の寸前に体を車内に引っ込めたおかげで、身体を半分に引き裂かれずに済みました。

しかし、中に乗っている乗員たちは、上部のハッチを開けて周囲の警戒していたところを急いで車内に引っ込みましたが、小銃や機関銃、弾薬箱、装備などと一緒に転がったせいで、車内はまさにミキサー状態のため、全員が負傷していました。

私はすぐに下車して、負傷者を助ける前にまず部下と共に全周警戒の陣形を取り、敵の攻撃に備えました。

周囲の警戒態勢を取った後に、負傷者の救出と負傷の手当などを行いました。

敵支配地域において、負傷者が多数発生し、しかも車両が1台大破してしまい、これはかなりまずい状態でした。

我々は直ちに負傷者の処置を行い、重傷者は救援のヘリを要請して、安全に着陸できる場所まで応急担架で搬送しました。

負傷者は、頸椎の損傷、腕や骨盤などの骨折の可能性があり、頭部の出血などかなり酷い状態でしたが、これでよく死者が出なかったなと思いました。

そして、負傷者を全員後送した後、我々はここでさらに2日間、防御態勢で持ち堪えることになりました。

米軍なら車両を爆破破壊してすぐに離脱しますが、フランス軍の場合は車両整備部隊を呼んで、現地で何とか自走、牽引できる様に修理して車両を持ち帰ることになりました。

我々は予定になかった任務の期間延長でも、水、食糧、気力なども非常時に備えて準備していたので問題なく対応することが出来ました。

外人部隊は、世界中の悪条件下での任務をこれまで数えきれないほど行ってきた実績は伊達ではなく、こんな状況でも見事に修理した車両整備班は、本当に素晴らしいと思いました。

しかし、もし事故が起きた後に敵の攻撃があったら、かなり厳しい状態になっていたかもしれません。

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